一枚にやっと凝縮して書いた
置き手紙を読みかえしていると
窓が開いて

冷たい空気と一緒に
朱奈が入ってきた。


朱奈が言う・・・・。
私が啓吾を支えると…。


嬉しかった。
手を伸ばして抱きしめたら
もう絶対に離さないのに……
でもこれから俺ともし一緒にいても
ずっとずっと殺人者の息子の俺の
十字架を背負わされて生きて行く。


肩身の狭い思いをさせて
人の目に怯えて
もしも二人に子供が生まれたら?


子供もまた一生
その真実に束縛されていく。


いつかきっと
俺と結婚した朱奈を憎むことになる。


もう二人を縛りつけるものは
何一つないけれど……
今度は十字架がついて回る。



  俺には絶対幸せになんか
  してやることはできないんだ。



冷静なふりをして
俺は淡々と朱奈に言う。



俺を忘れてくれと・・・・・。



大きな瞳の俺はどんな風に
写っているのかな?
もう二度とおまえのその
綺麗な目に俺は写ってはいけないんだ。