おおみそかを前にして
啓吾が退院してきた。


その日は朝から 
啓吾の部屋の掃除機をかけた。


  啓吾が帰ってくる

ときめく胸と反対に
不安がよぎる



また親の目を盗んで
抱きしめ合う日々が始まる…。


出口の見えないトンネル



啓吾に抱きしめられたら
間違いなく私……
またあの甘い地獄に迷い込む


好きで 好きで 死んでしまいそう


だけどどんなに愛し合っても
二人は絶対に結ばれない


ここではぐくむ愛は報われることなく
私たちは兄と妹の
壁を超えることはできない



幸せな家族の関係を
これからも裏切り続ける
罪悪感にも正直つかれてしまった。



なぜ…兄妹に生まれたの?



なぜ…お互いを愛してしまったの?
出口の見えない


地獄のトンネルでもがく
自分に
疲れてしまっていた。