しばらくの沈黙が続いた。

そして日花璃のお父さんが口を開いた

「日花璃は…そろそろ危ないらしい…」

その言葉を聞いた途端

俺は手に持っていた紙コップを落としてしまった。

「え…」

「手術をすれば可能性はある…だが…」

その後の言葉に更に俺は驚いた。

「成功する可能性は…極めて低い…」

知っていた事実。

だけど改めて聞くとやっぱり受け止めきれない。

「日花璃には…」

「まだ言っていない。だけど本人にもそろそろ言うべきなんだと思う。」

そう言って日花璃のお父さんは席を立った。

「虎太郎、お前はどうするのがいいと思う…?」

「俺は…」

正直、このまま放っておいて

日花璃がこの世からいなくなるのは嫌だ。

だからと言って、可能性の低い手術も

簡単には薦められない…

「日花璃の…日花璃がしたいようにすればいいと思います…」

「そうか…ありがとう…」

そう言うとお父さんは日花璃の病室へと向かった。

俺はその後を追いかけることも出来ず

面会時間ギリギリまで

その休憩室でボーっと過ごしていた…