マリア教会

「夏季と出会った日に、私はやっと歌う事が出来たの」
天使の歌声に感動した日。
「きっと夏季が私に声を届けてくれたのね」
「雪乃…」
神ではなく、私に救われたと言ってくれる雪乃。その声も笑顔も優しさも、雪乃の全てが愛しくて、夏季は雪乃を抱きしめた。雪乃も柔らかい手を夏季の背中に回す。
「ごめんね、雪乃。私、何も知らないくせに雪乃を傷付けた…」
「もういいよ。私が話さなかったのが悪いの」
「いや、私が――」
吐き出そうとした言葉は、雪乃の唇によって塞がれた。
視界いっぱいに広がる雪乃の顔と、柔らかな温かい唇。そして、
「好きよ、夏季」
幸せを感じさせてくれる魔法の言葉。
強くて優しい雪乃をずっと大切にして行こう。例えこの声を失っても、雪乃だけはもう手放さない。