習慣というのは恐ろしいもので、夏季は気付けばお御堂まで来ていた。土砂降りだというのに傘も差さずに来たので、全身ずぶ濡れ。
お御堂からはピアノの音色ではなく、久しぶりに聴く聡明な歌声が漏れていた。
夏季がそっと中に入ると、マリア像の前で雪乃が柔らかく、そして力強く気持ち良さそうに歌っていた。
胸に響くその声は、いつもなら感動して声も出ないが、今は違う意味で声が出ない。
夏季が理想とする歌い方を、雪乃は簡単にやってのける。そんな雪乃に、夏季は今まで抱いた事もない感情を抱いてしまう。
ねえ雪乃、何でなの?
「夏季」
夢中で歌っていた雪乃が、やっとずぶ濡れの夏季に気付いた。
「どうしたの?傘持ってなかったの?」
雪乃は自分の鞄からタオルを取り出し夏季の髪を拭こうとしたが、その手を夏季は弾いてしまった。雪乃が驚いたのが目に見えて分かる。
お御堂からはピアノの音色ではなく、久しぶりに聴く聡明な歌声が漏れていた。
夏季がそっと中に入ると、マリア像の前で雪乃が柔らかく、そして力強く気持ち良さそうに歌っていた。
胸に響くその声は、いつもなら感動して声も出ないが、今は違う意味で声が出ない。
夏季が理想とする歌い方を、雪乃は簡単にやってのける。そんな雪乃に、夏季は今まで抱いた事もない感情を抱いてしまう。
ねえ雪乃、何でなの?
「夏季」
夢中で歌っていた雪乃が、やっとずぶ濡れの夏季に気付いた。
「どうしたの?傘持ってなかったの?」
雪乃は自分の鞄からタオルを取り出し夏季の髪を拭こうとしたが、その手を夏季は弾いてしまった。雪乃が驚いたのが目に見えて分かる。


