マリア教会

「どうして夏季をソロに選んだんですか?」
「!」
突然聞こえて来た自分の名前を言う声。その声は夏季の目の前の曲がり角から聞こえて来たものだった。
夏季がそっと角に身を隠し見てみると、そこに聖歌隊のリーダーと、名声も高いメンバーのリンが話し合っていた。
何となく出づらい雰囲気だったので、夏季は身を隠したまま聞き耳を立てた。
外の雨音はだんだん激しくなってきている。
「あんな新人を使うなんて…。大切なコンサートなんですよ?天使なら分かりますけど…」
どうやらリンも他のメンバーと同じように、夏季がソロで出る事に反対のようだ。だが夏季の出場を決めたのはリーダーだ。そのリーダーに文句を言っても仕方ない。