マリア教会

「それが、夏季も出れるんだよ。しかもソロで歌う事になってる」
「え!?何で!?」
いつも賑わってる食堂に一際大きく夏季の声が響く。何人かはこっちを見たが、みんなすぐに元の会話に戻る。
「夏季が雪乃と練習している所を聖歌隊のリーダーが見たらしいんだ。それで夏季の歌声を聴いてぜひコンサートに出てほしいってさ」
「リーダーが…?」
今日もリーダーは練習に来てたけど、そんな事一言も言ってなかった。みんながいる所では言いずらいから詩織に伝言を頼んだのかな。
「それは嬉しいけど、でも出るなら普通は合唱とかじゃないの?なのに何でいきなりソロなの?」
夏季の疑問に詩織は食後のコーヒーを飲みながら答える。
「聖歌隊として大勢の前で歌う事が出来るかどうか、度胸を試す為だってさ」
「聖歌隊って厳しいんだね…」
聖歌隊に入隊して初の舞台でソロ。そんな度胸試し聞いた事ない。