マリア教会

詩織もずっと夏季の成長を見て来たから、こんなにも心配するんだろう。
レイラが嫌味っぽく言うと、詩織は黙ったまま俯くだけだった。そんな詩織を変に思い、
「どうしたの?」
すると詩織はまだしばらく黙ったままだったが、レイラが詩織の言葉を待っているとようやく口を開いた。低いトーンで。
「来年の春、夏季が神の誓いを立てる事になった」
「!」
思いがけない言葉にレイラは息を飲んだ。
詩織が口にした「神の誓い」とは、世間で言う結婚のようなもの。でも本当に一緒の籍に入る訳ではなく、教会にいる間はその人と一緒にいるというもの。中には本当に愛し合っていて、マリアの許可を貰い同じ籍に入る者達もいる。この国では同性同士の結婚が認められているから。