マリア教会

レイラは夏季の笑顔と言葉に、胸がくすぐったくなりながら隣に座る。そしてマリア像を見上げながら呟いた。
「私…ここ嫌いなんだよね」
レイラの過去が眠る場所。孤独の生活の始まりになった場所。そして、神が見守る場所。
昔の事を思い出しながらマリア像を見上げるレイラに、夏季が言った。
「神は存在するって無理やり言われてるみたいだからですか?」
「何で分かったの?」
嫌いな理由を聞いて来るより、そんな風に言った夏季にレイラは驚いた。確か夏季はレイラの過去を知らないはず。
夏季を見つめるレイラに、夏季は笑顔で答えた。
「私も嫌いだからです」
「……」
「ここに来ると少し前の事を思い出してしまうから、それも嫌いな理由の一つです」