マリア教会

「何?」
「あ、あの…」
「ん?」
首を傾げるレイラを、夏季は真っ直ぐ見て来た。
「レイラさんは教会の人なんですよね?何をされてる人なんですか?」
「……」
その問いにレイラは黙ってしまった。
いつか聞かれると思っていたし、その時は適当に答えて話を逸らそうと思っていた。でも、こんなに真っ直ぐ見つめられると嘘を言う気にはなれなかった。
この澄んだ瞳に嘘を付きたくないと、レイラの心が言った。
「…何もしてないよ」
「え?」
「咎人って知ってる?」
「……」
夏季が黙った。レイラの心臓がうるさく鳴り出したが、夏季に動揺を悟られないよう平常を保つ。
「罪を背負う者…。その罪を浄化する為に毎日神に祈りを捧げる。罪が消えるまでは決められた者以外と話してはならず、決められた時間以外は部屋から出てはいけない。それが咎人」
説明するレイラに夏季が聞いて来た。