マリア教会

詩織は呆れながら、
「それは分かるけど…あんまり急ぐと喉に詰まるぞ」
「大丈――ぐっ!」
まずい。明らかに喉が締め付けられてる。
喉元を押さえテーブルをバンバン叩く夏季に、詩織が慌てて水を差し出す。
「ほら見ろ!早く水飲め!」
夏季は水を一気に飲み干し、何とか喉の通り道を作った。
「はあ…はあ…一瞬終わったかと思った」
「全く…。大切な声なんだから、もっと大事にしろよ」
「分かってる分かってる」
適当に返事をし、夏季は席を立った。
「じゃあ行くね」
「あ、夏季ちょっと待って」
「何ー?早く行きたいんだけど」
「これ、見たくないのか?」
詩織が懐から取り出したのは一枚のチラシ。夏季はそれを受け取り、
「何?聖歌隊のコンサート?」