マリア教会

こんなものに夏季の寂しさの理由が載っているとは思えないが、少しでも夏季の事を知りたかった。
「あった!」
夏季の名前と顔写真を見付け、書かれている文に目を通す。
《聖歌隊所属。天使、雪乃の指導を受け技術を磨き、その声は本物。現在は教会の宝として期待されている》
誰が書いたか分からない文を読み、レイラは見付けたキーワードを探す。
「雪乃…雪乃…。あった」
《透き通るような声から天使と呼ばれた歌姫。聖歌隊に入隊する事はなかったが、彼女の歌声は教会中に響いていた。だが彼女は二十五の時心臓の病でこの世を他界。彼女の式には大勢の人が参列した》
そこまで読み、レイラ夏季が座っていた場所を見下ろす。
「背負っているものは天使か…」