マリア教会

「お戻りが遅いですよ」
時間を二十分ほど遅れて帰って来たレイラに、鍵を開ける役目のシスターが言った。レイラはシスターに適当に返事をして部屋に入る。
背後で鍵を閉める音を聞きながらレイラは窓辺に椅子を運び座った。一応外を見下ろすと、夏季はもういなかった。
そして、服の下から教会の資料室から借りた一冊のファイルを取り出す。資料室の管理者は都合良くレイラの存在を知らなかったので、ナンバーズから取って来いと言われた、と言ったら素直に貸してくれた。あの人は管理者に向いてないな。そう思いながらファイルを開く。
「えーっと…夏季…夏季」
この中には教会に在籍している人達の事を記録したものが載っている。