マリア教会

最後に念押しし、人が来たので詩織はその場から立ち去って行った。
「相変わらず嫌われてるなー私」
夏季…。頭の中でその名前を繰り返し、レイラは返事へと続く廊下を歩き出した。
やはり私が咎人だという事に気付いてなかったか。まあ、咎人が誕生したなんて、教会にとってマイナスな事を大きく発表した訳じゃないから知らなくても無理はない。レイラが咎人だという事を知ってるのも教会で半分くらいだし。
けどあの子はレイラが咎人だと分かっていても、逃げる事はしなかっただろう。何となくだがそう思う。
「……」
詩織は名前しか教えてくれなかったが、夏季の事をもっと知りたい。あの子が感じている気持ちを知りたい。
レイラは立ち止まり、返事へと続く道とは違う方向へ歩き出した。
誰も教えてくれないなら自分で答えを見付ける。