マリア教会

「マリア祭の時にお御堂で歌ってたあの子…」
「夏季?」
詩織が口にした名前をレイラは聞き逃さなかった。
「夏季って言うんだ。あの子何であんなに寂しそうに歌うの?」
「なぜそんな事聞くんだ」
「ちょっと気になったから。あの子も何か背負うものがあるの?」
「レイラ…」
そして、詩織の顔が変わった。
「夏季に近付くな」
「……」
咎人を見る目。その目には冷たさと拒絶、そして警告が感じられた。
詩織も夏季の事を知っているのか、詩織からは夏季を守ろうとする意志があった。それと同時に、詩織はもう私の味方ではないと思い知らされる。
「夏季は咎人の存在を知っているが、その咎人が誰なのか分かってない。だから夏季には絶対に近付くな」