レイラの元上司は今もこの教会のどこかにいる。
レイラがマリアに元上司がしてきた事を話しても、元上司には何の罰も与えなかった。マリア教会での地位と、世間の目のおかげだろう。今もあの女は昔と変わらない席に座り続けている。
それを聞いたレイラは怒る気にもなれず、ただ呆れた。平然としているあの女と、人の心を無視したこの教会に。
「神はいない…」
散っていく桜を見ながらレイラは静かに呟いた。
この世に本当に神がいるなら、どうか私を殺して下さい。過去も現在も未来も全て消して下さい。
そして今度生まれ変われるのなら、私は桜になりたい。一年に一度だけ綺麗に咲き誇り、皆の心に存在し続けたい。私の綺麗さに見とれる人々を、私は見下ろしてたい。