マリア教会が桜でピンク色に染まる春。
春は出会いと別れの季節であり、十八のレイラは長年通った校舎に別れを告げた。
「楽しかったなー」
校舎を見上げ、学生時代の思い出を頭の中で蘇らせる。
多くの事を学び、たくさんの友人に囲まれ親友と呼べる友にも巡り会えた。私の学生時代は、宝物としていつまでもこの胸に残るだろう。
「レイラ」
金髪をなびかせ振り向くと、一人のシスターが立っていた。
「卒業おめでとうございます」
「ありがとうございます」
頭を下げレイラはお礼を言った。そしてシスターは優しい微笑みを浮かべ、
「少し時間よろしいかしら?」
「はい」
「あなたに会わせたい人がいるの」
「?」
会わせたい人?家族も親戚もいないし、誰だ?
そう思いながらも、レイラは黙ってシスターの後に付いて行った。