マリア教会

廊下を歩いていると、目の前の角から二人の人が出て来て夏季の前を歩く。高校生だろうか、追い抜こうにも廊下はそんなに広くないので、仕方なく夏季は二人の少し後ろを速度を落として歩く。
夏季の存在に気付いているのかいないのか分からないが、二人は並んで歩きながら話しを始めた。
「聞いた?咎人がまた問題起こしたんですって」
(咎人…)
その単語に夏季はなぜか引っ掛かった。
咎人とは、マリア教会内でタブーな存在。罪を犯し、咎人の名を与えられた者は自由を奪われ、限られた人以外と話す事も禁止されている。咎人の事を話す事も禁じられていると詩織が言っていた。