マリア教会には幼児から学生まで大勢の子供がいる。
親の希望で教会に入れる為に子供に試験を受けさせる親もいるが、ほとんどは親のいない孤児だ。
子供達は幼い頃からシスターから神の言葉を教えられ、神の為に働くためにあらゆる知識を身につける。
小夜もその一人だった。
教会の敷地内に建つ学校で高校の授業を受けている小夜は、さっきから背中に当てられる物に堪えていた。
最初は小さな物だったが、それがシャーペンになり、定規になり、最後はコンパスまで投げられた。
そっと後ろを振り向いても、みんな真面目に授業を受けていて誰が投げたか分からない。
そしてまた前を向くと、やはり投げられて来る物。
と、小夜の机の上に小さな紙切れが投げられて来た。
小夜は周りを見回してから教師に気付かれないようそっと紙を開く。中には、
『死ね』
それだけが書かれていた。