お店を出ると後ろから腕を捕まれる。

「花依ちゃーん、アドレス聞くの忘れてからさ!」


「あたし…男の人にアドレス教えないんで」


「いいじゃん、教えてよー」

ポケットに入れていた携帯を男は勝手にとり、いじり始める。


「…返してください」

花依の言葉を無視し携帯をいじり続ける。

「返せよ」

…と後ろから声がするとそこには居酒屋店員の彼がいた。


「花依ちゃーん、あいつ誰?」

合コン相手の男は花依の手を掴みはなさない。

「俺こいつの彼氏だけど携帯返してもらえる?」


「嘘つくなっつうのー!花依ちゃんは男嫌いなのに彼氏いるわけないじゃんっ」

「こいつ、俺には心ひらいてるから」

「そんなわけ…っ」

「いいから早く返せよ、手もはなせよ」

「あ…はい」

男は素直に携帯を返し手をはなすと店の中に戻った。


「送ってく、車回すから待ってて」

「…助けてくれてありがとうございました」


彼は車を回しに戻る。

お店の前に行くと花依の姿がどこにもない。

車で進んでいるとフラフラ歩いている人影を見つけた。

「おーい乗れよ、暗いし1人じゃ危ねぇぞー」

「…大丈夫です」