改訂版・時間よ、止まれ。






そう。



私の中学では、中3の夏休みは週に3回補習が行われる。





その内容はもちろん、高校受験対策。






別に強制ではないんだけど、うちの学校の補習は受けたい高校のレベル別、更に教科別にやってることが全然違っていて、そこら辺の塾に行くのと同じくらい質がいいとの評判があり、かなりの割合の生徒が出席している。






「志望校が分からないと補習のクラスも決まらないからって、こんな夏休みの前日に残すことないじゃん」



「センコーも色々大変なんじゃね?でもどーすっかなー。コレ埋まらないと、マジで帰れないぞ?」






そう言いながら優祐がヒラヒラと私に見せてきた1枚の紙切れ。





もちろん私の元にも、白紙の同じ紙がある。






『進路調査票』とタイトル付けされたその紙に、とりあえずクラスと名前だけは書いてみたけど、あとはいくら考えても分からなくて、私はシャーペンを置いてしまった。






「みんな進路ちゃんと考えてるんだね。だって、私と優祐以外、残ってる人いないじゃん」



「あ〜、テキトーに書いてるだけじゃねぇ?」



「適当じゃダメでしょ?自分の人生じゃん」



「ああ。俺もそう思うから、さすがに今回はテキトーに書かなかったけど」



「…逆に書けなくて残ってるんだったね、私達」