「でも久しぶりにさおりの怒った姿見たかも。やっぱ楽しーなー、からかうのも♪」
「彼女になってからもこんなの、ナシでしょー?」
「いや、たまにしてみたくなるのが男子ってもんだな。油断すんなよ〜」
「ホント、ひどいんだから」
優祐はまだ「ははっ」と笑いながら、急に私の右手を掴んできた。
「まあそういじけるなって。そろそろ帰るか」
そうやって自然に手をつないでくるのとか……
ちょっと怒ってたはずなのに、優祐の手から伝わる熱い体温に、そんな気持ちすら溶かされていく。
たまにからかってきたり、イジワルされたりするけど…
本当は優しい人なんだって、分かる。
こうやって、私の歩くスピードに合わせてわざとゆっくり歩いてくれたりとか。
さり気なく私のバッグ持ってくれたりとか。
…私、優祐のこと好きになって良かったかも。
そして、優祐に好かれて、こうやって付き合えて、かなり幸せ者かも。
そんな甘い気持ちを噛み締めながら、私は男っぽい少し厚い手を更にギュッと握った。
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