改訂版・時間よ、止まれ。


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「でも華恵もサッカー部だったなんて…」



「言ったじゃん。私、1組の市川くん狙いだって。しっかし、新井が直接さおりに応援頼んでくるとはね〜。もしかしてさぁ、脈アリなんじゃない!?」



「あ…、それ、ない気がする…」



「さおりらしい否定の仕方じゃないねぇ。いつもなら『あ〜、ないない!』ってスッパリな感じなのに」



「いや、どうしていいか分かんなくなっちゃって」








新井との週番が終わって数日経った6月中旬のある日。





ついに県大会が各地で開幕した。






梅雨入りも近いと言われてるけど、今日はとてもいい天気。





私はサッカー部の試合が行われるスタジアムにやってきて、華恵と一緒に場所取りをしている最中。






「あっ、ココ良くない!?うちの学校側だと真ん中のあたりじゃん。ほら、よく見えるし。うちらがよく見えるってことは、あっちにもよく見えるってコトでしょ?」




「私、もっと後ろがいいんだけど…」




「ダメだよ、さおり。そんなんじゃ、声援が届かないじゃない。よし、ここに決ーーぃめた!さおりも座って座って♪」




「えー?」






華恵が言う通り、応援する場所としては完璧な位置取りなんだけど…





結構ここって目立たない!?








こんな目立って新井を応援するつもり、なかったのに……。