でも、質問された新井はそんな斉藤さんに慣れているみたいで、平気な顔をして斉藤さんに答えた。
「クラブのこと。俺、サッカーやってんだよ。今から練習」
「そうなんだ!?優祐すごーーい!じゃあ見に行っていい?」
新井からサッカーをやっていることを聞かせれた斉藤さんは、大きな瞳をさらにパチパチと大きく輝かせた。
「いや、もうすぐ県大会あるし、真剣にやってるとこだから。悪いけど……」
対して新井は申し訳なさそうに断っていた。
だけど、斉藤さんの反応は……
「私もやりたい!!私もサッカーやるっ!!」
うっ、うそでしょ!?
なんなの、このワガママ娘は!!
こんな人、初めて見たんだけど!
大きいスポーツバッグを持って、ため息をつきながら教室を出ていく新井と、
その新井をスキップしながら楽しそうに追いかけて『ブカツ』に向かう斉藤さん。
私は帰る用意をする手を止めて見入ってしまっていた。

