「わりぃ、手が滑った〜。…つーか、英語のノート見せてくんない?」
「何で私が新井にノート見せなきゃいけないのよ!?」
私の目の前には、自分のノートを丸めて右手に持っていた新井が立っていた。
あれっ!?
そう言えば、斉藤さんは???
…と思って周りを見回すと、すでに斉藤さんは自分のクラスに帰った後みたいだった。
そして我に返って自分のノートを見てみると…
ヤバイ!!
始めの3行ぐらいしかできてない!!
こんなの、新井に見せれるわけないし!
そう思って、私はノートを閉じた。
「…やだ」
「なんで?」
「なんでもっ!!」
「えーっ!いいじゃねぇか。ケチケチすんなよ」
「だいたい何で私なのよ?」
こんな押し問答を繰り返しているうちに、ついに私のノートが新井に奪われてしまった。
「…あっ!返してよ!!」
「あれ?ほとんどできてないじゃん」
「〜〜〜だから言ったのにっ!!」
あんたのせいで、ほとんど予習が進まなかったわ!!
…って言ってやりたかったけど、言えるハズもなく。
私達は二人とも、言うべき言葉を失ってしまった。

