「え?何で謝るの?」
「いや、あんまりさおりにはいいことじゃなかったよね」
また華恵が変に気ぃ回してる……。
けど。
やっぱりそうだったのかっていう感じ。
単に用事があるからとかいう理由も、かすかな可能性としてあると思ったけど…。
ここまでうちのクラスにちょいちょい来られると、気にならない方がおかしいぐらいだった。
どう見ても、新井に気があるようにしか見えない。
新井の腕を組むように触って、顔を近づけて二人しか知らないような話題ばかり話して……。
気が気でない。
不安でしょうがない。
何でこんな感情が溢れ出て来るのか分からないけど、英語に集中しながらも、つい横目で新井と斉藤さんを見ている自分がいた。
「ほら!手が止まってるよ、華恵」
「さおりだって!……よし、私、あと1行!」
「マジで!?」
集中してるつもりだったのに、全然集中できてなかったらしい。
どうやら邪念が沸き起こっていたらしい私は、ほとんど日本語訳が進んでいなかった。
その時……
パコッ!!
「いたっ!!」
頭に軽い衝撃を感じて、私は思わず両手で頭を押さえながら、ノートから目線を上げた。
そこには……

