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「あれ?また男子騒いでるね…って、ちょっとさおり!また斉藤さん来てるよ!!」
「え?」
あれから1週間。
隣のクラスのハズの斉藤さんは、ほぼ全ての休み時間にうちのクラスに来ていた。
5時間目と6時間目の間の、昼下がりの休み時間。
眠たくてしょうがないところなんだけど、そうも言ってられない。
私は私で、やらなきゃいけないことがある。
「そんなこと言ってる場合じゃないじゃん、華恵。次の英語、絶対日本語訳当たるよ?」
「分かってるってば。だけど、こう毎回来られるとねぇ」
「あ〜、何で私、予習忘れてきたんだろ」
「それは私も同感」
私と華恵は揃って次の英語の予習を忘れてきて、最後の悪あがきをするハメになってしまった。
「でもさ、斉藤さん、そんなに新井と話すことあるのかな?」
「ちょ…、さおり、何言ってんのよ?用事がなくても来るもんでしょ?」
「なんで?」
「何で…って、それはただ、新井に会いたいからなんじゃ……、あっ、ごめん」
そこまで言うと、華恵はシャーペンを動かす手を止めて、口を押さえ始めた。

