「さおりこそ、誰かいるんじゃないか?」
「私?私は優祐と別れてから、誰とも付き合ってないよ」
「え!?」
私がそう言うと、何故か優祐は驚いた顔をした。
「なあ……、違ってたらわりいけど、さおりって東京タワーに登ったことある?」
「え!?もしかして…、やっぱり優祐もあの時東京タワーにいたの…?」
二人とも、驚きを隠せなかった。
まさかとは思っていたけど、本当にあの時、あの場所に、私達はいたんだと……。
優祐もちょうど高2のあの頃に修学旅行で東京タワーに来ていたらしい。
あの時、優祐には同じ学校に付き合っている彼女がいて、ちょうど二人でカフェに入ろうとした時、他校のある女子とぶつかった。
ぶつかってきた女子は急いでその場を去ってしまったけど、立ち去った後に生徒手帳が落ちていることに気付いた。
その時たまたま、人の良さそうな真面目な男子高生が「井上さん!」とその彼女を呼んでいるのが見えた……。

