「だから…、大人になってその時まで俺達の気持ちが変わってなかったら、もう一度さおりとやり直せると思ったんだ。バカだよな…、俺。5年がどれくらい長いのかさえあの時は分からなかった」
「優祐……」
あの時、二人の気持ちは同じだったんだ。
じゃあ…、今は?
気付けば私は自然と両手に握り拳を作っていて、意を決するように更に手に力を込めた。
「優祐は…、彼女いるの?」
「え?俺?」
聞きたくなかった。
だけど、聞かないとこれ以上会話は進まないと思った。
もしいたとしたら…、
もう私の出る幕なんて、どこにもない。
ふうっと白い息を吐いた優祐は、私を自分の隣に引き寄せた。
こんな間近で見る優祐に、またドキドキする私がいる……。
「いないよ。俺、正直さおりのことを忘れようと思った時期があったけど、結局忘れられなかった」
「え……」
「無理だったんだよ。俺、さおり以外の女は無理なんだ」
うそ……
あのウワサの感じからすると、てっきり優祐は変わってしまったのかと思ってたけど、ホントは違ってたってこと…?

