改訂版・時間よ、止まれ。






こんな言葉、書かれてたっけ?





いや、最初から書かれていなかった。






だって、この部分だけ、最近書かれたような筆跡……。







「どうした、さおり?古過ぎてやぶれてたとか?」






私は、心配そうに私の表情をうかがってくる美奈に、紙切れを見せた。






「ううん、違う。…あるの。文字が足されてる……!」



「うそでしょ?」












『先生へ


3年3組 井上さおりに県立K高校普通科にサッカーで行くことになったことと、頑張れって伝えてください』







確かにここまで書いてあることは、私も何度も読み返したから知ってた。





だけど、その下に……










『さおり、ありがとう。そして頑張れ』










私の知ってる、書き殴った様な優祐の文字がそこに書き足されてあった。







「…字の感じから言って、同一人物が書いたものみたいだね。この『頑張れ』って文字、一緒でしょ。これ、さおりの好きな人が書いたもの…?」




「うん、優祐が。もしかして……、いや、期待なんてしたらいけないんだろうけど、……優祐が拾ってくれたのかな…?」




「可能性はゼロじゃないよ。ココ、他校生もたくさん来てるし。だいたい、生徒手帳を中原に預けたのも他校の人だったから、もしかしたら、その人かも……」




「そんな偶然ってあるの?信じられない……」








…そうだ。



私、このカフェから駆け出した時に、他校の人とぶつかったような…。





もしかしたら、その人が優祐ってこと?






でも…、確かその人の隣には女子生徒がいた気がする。






もしその人を優祐だとしたら、優祐は今、彼女がいるってこと……?