私も中原くんも、無言になって集中して漫画を読んで、約1時間。
「………あ、終わっちゃった」
あっという間に漫画を読み終えてしまい、私はしおり代わりに挟んでいた優祐の手紙を生徒手帳に挟んだ。
ついまたクセで優祐の手紙を使ってしまっていたけど、触れるとやっぱり思い出すな……あのウワサ。
悪い話を思い出さないためにも、しばらく封印した方がいいかな…、この手紙。
「あれ?その紙、何?すごく古そうだったけど」
その様子を見ていた中原くんに、不意に声を掛けられてしまった。
その声に驚いて中原くんの方を向くと、中原くんもちょうど漫画を一冊読み終えたところのようだった。
「井上さんならちゃんとしおり使ってそうな感じがしたから…。ごめん、聞いちゃいけないことだった?」
「あ…、ううん。私にとっては大事なものだから」
それだけしか、答えられない。
あんまり、他人に話したくないんだよね。
今だったらもれなくサンタのウワサ話を思い出しちゃうし。
そう言った後黙っていると、中原くんが微笑みながらこう言った。
「そっか。大事な物なんだな。そんな古くなるまで持ってるくらいだから」
「うん。とっても大事……」
それで、会話が切れると思った。
だけど、中原くんは意外な言葉を発した。
「…なあ、もしかしてそれ……、井上さんの好きな人からもらったもの?」
「え?」

