「ね?ね?新井、すごいでしょ?」
「サッカー部なんだから、当たり前なんじゃないの?相手は他の部活の男子なんだろうし」
「でも、普通あそこまで素早く動けないよ。新井と仲のいい男子達だって、バレー部とかバスケ部とかいるし」
「…ふーん」
この動きがすごいものなのかどうかさえ、私にはイマイチ分からなかった。
けど…
「よっしゃーーっ!!1点もらいー!!」
次の瞬間、敵の男子をかわした新井がシュートを見事に決めた。
新井の嬉しそうな大声が、こっちまで聞こえてきた。
「すっごーい!カッコイイね」
「…そう?」
新井のシュートを見て、華恵の瞳は更に輝きを増したようだった。
「やっぱこのシュートを見たら、新井に惚れる気持ちも分からなくはないな…」
「…何の話?」
すると華恵は急に視線を、新井達から隣の私の顔へと移してきた。
「2組の山田さん、この前新井に告ったらしいよ」
「そーなの?」
アイツ、ホントにモテるんだ…。
知らなかった。

