「あれ?中学校開放されてるのに、ココには人がいないんだね」
「ここまで上るのがまず大変だろ?あと、中学の校舎に詳しいヤツなんて、現役中学生しかいないしな〜」
「ホント、ここならよく見えそうだね。よくこんな穴場知ってたね」
「俺もたまたま知ったんだよ。去年だったかおととしだったか……、夏祭りの時にグラウンドに小学生がいたから、何でだろうって思って」
その時は夏祭りということもあり、部活は休みだったみたいだけど、優祐は自主練するために、一人中学校に来て、グラウンドを使う申請をしようとしていたらしい。
…ホント、サッカー好きなんだな……。
「7時半だな。もうすぐ始まるぞ」
「うん…!」
私は少しだけ優祐に近付いて、寄り添った。
すごく、ドキドキする。
もうすぐ花火が始まる緊張と、
優祐の隣にいる鼓動と……。
私の中で様々な気持ちが入り混じる中、大きな音と共に、一発目の花火が大きく花を開いた。
「うわぁ〜、綺麗で大きい!すっごーーーい!」
「学校の屋上でここまで見えるなんて、驚きだろ?」
「うん!あっ、また上がった!!」
フェンスの手すりを握って、上がっては消える花火を夢中で見ていると、不意に私の手に優祐の手が重なった。

