急に鳴ったのに、不思議と肩を揺らさなかった それは、奏斗も同じ 名残惜しいような寂しさを引き摺りながら、 ソファに転がる携帯を拾い上げ、画面を確認する 「…お姉ちゃんだ」 「…帰んだろ?」 「……うん」 ◆◇ 「じゃね!明日、寝坊しないでよねー?」 「しねぇから!お前も化粧ばっかに時間かけて遅刻すんなよー?」 「余計なお世話ですー!」 数分前の空気が嘘だったみたいに お互いフッと笑い合って ローファーを引っ掛けて、1歩、扉の外へと踏み出す