財布も定期も持たねぇで飛び出て来たから、探せる範囲は限られてっし、
一度取りに戻って他の街を探す、という選択肢が、インスピのみの突発的な行動をとっていた俺の脳裏に浮かんでもこなかった、…っつぅのもある。
「………」
でも、体力的にもう限界だった。
クリスマスイヴの街はとにかく人がごった返していて思うように進めず、
最初の方こそ勢いで、押し退け押し退け強行突破していたものの、ことごとく体力は奪われていっていた。
それに加え、そんな俺を戒めるような冷たい風までもが肌を突き刺し、
これ以上走り回るのは、不可能に近かった。



