「……っ!」 くっそ…っ なんとも思ってねぇのにキスなんかするかよ 好きだからすんだよ!! それ以外になにがあんだよ?! そう、伝えてぇのに 泪の向こうで睨んでくる眼光があまりにも強くて、 いとも簡単に呑み込まれていた ─… 俺はただ、 走り去っていく背中に、 心愛が身を翻す間際に見せた、唇を噛み締めている表情の残像を重ね、 黙って見送ることしかできなかった