「お母さん、仕事を頑張りたいの。東京へ行ってデザイナーとして…」




東京から電車で2時間は掛かるこの土地。


通う事は難しいから、東京へ住むという事だろう。




「それで、お兄ちゃんと裕介なんだけど…」

「俺は大学あるから、この家で父さんと住む」


母さんの言葉を察して、兄貴は口を出した。


「そう言うと思った…」


母さんは、少し寂しそうに答えた。


そして俺の顔を見る。


「……俺―」

「裕介…お母さんの我が儘だけど、一緒に来てほしい」


俺の言いたい事を察したのか、被さるように母さんが言う。とても弱々しい口調で。




決して家族を嫌いになった訳では無い母さん。

父さんや俺達を好きなはず。

家族以上に仕事を頑張りたいと望んだから、家族から離れる事にした。


でも、支えの家族が急に無くなれば不安も多い。





だから母さんは俺を……………



――――――