渡辺君の言った言葉が、私の身体に入り込んだ…


胸の中にあった黒いものがスーッと引いて無くなる。



そうだ……周りじゃなくて、自分がどうしたいかだ……




永井君に片思いしてた時に、弥生ちゃんから言われた言葉をどこかに置いて来ていた。



周りばかり見ていた私は、また知らず知らずに「私なんて」って言葉を引き寄せていた。







私は……どうしたい?








私は…………









「渡辺君!」

ガッと渡辺君を力強く見た私に、渡辺君はびっくりして「おおっ」と声を上げた。





「渡辺君のそういうの凄く良いと思う。

渡辺君は、人を笑顔にする力があると思うよ」



私は渡辺君にそう言うと、晴れた気持ちで教室に向かった。