男子が居なくなると、渡辺君はため息をついた。
顔が少し寂しそうだ…
その顔をクルッと私に向けると、申し訳なさそうな顔をした。
「カオリンごめんね、急に怒りだしちゃって…」
口調はいつもと同じ。
私は首を横に振った。
「ううん、私も彼女が可哀相だと思ったから…」
何を言ったら良いのかわからなかった。
渡辺君は天井を見上げると、廊下の壁に背中を付けた。
「あいつさ……女にだらしがないんだ。常に女が居ないと駄目らしい。
一人を一途に好きなら良いんだけど、色々手を伸ばして二股とかもしてた。
二股で大変な目にあったし、反省して最近は落ち着いたと思ったんだけど…………」
渡辺君は友達が大事なんだ…だから、友達がまた過ちを犯すのが見ていられなくて怒ったんだ。

