「あれ?カオリン?」
放送室から教室に戻る途中、後ろから声を掛けられる。
「渡辺君…」
他のクラスに遊びに行っていたらしい渡辺君。
少し首を傾げて私を見ると「元気ない?」と聞いてきた。
私…わかりやすいのかな?
「あっ!渡辺!!」
他のクラスの男子が渡辺君に話し掛けた。
「あのさ、今度合コンがあるんだけど…」
男子は渡辺君の肩を掴みながら話した。
「え…だってお前、彼女いるじゃん」
渡辺君が驚いた顔で男子を見る。
男子は「ああ…」と呟いてから、声を潜めた。
「あいつには内緒な。彼女居ても、出会いは大切だろ?」
悪戯な笑顔で言う男子だが、要は彼女が居るけど内緒で合コンに行くって事のようだ。

