「香ちゃん、付き合い出したんだね?」


名前は出してないけど、永井君の事だと直ぐにわかった。


「う…うん…」



返事はするものの、梨華ちゃんは永井君にフラれてるわけだら、申し訳なく言いづらい。




そんな私を察してか…
梨華ちゃんは、苦笑いでため息をつくとケータイを開いた。


直ぐにパタンと閉じて、



「時間があるから屋上行こう」

と、半ば強引に私の腕を引いて、階段を登りはじめた。








屋上へ続くドアを開ければ、生暖かい空気が私たちを包んだ。



「まだまだ暑いね~」

なんて言いながら、梨華ちゃんは人が他に居ない事を確認してた。



「よし!誰も居ない!香ちゃん、こっち」


少し日陰になってるところに腰を下ろし、隣に座る様に促されれば、
私も自然とそちらに足が動いた。