結局、用意していた花火は、半分以上使えなかった。
 

「残念だったね」
と折越さんは、ベンチに座った。

「でも、皆といい思い出が出来た」

由梨は、嬉しそうに言った。
 

「皆、私の為に、ありがとう」

由梨の言葉に、皆、笑顔になった。
 

「渡辺さんが、良かったなら、冬の花火大会は、大成功!ってことで」

岡田が場をしめると、皆、その場に座り込んだ。

「あっ、雪」

空から雪が、静かに降って来た。
 

「クリスマスの日に、雪降るのってなんて言ったっけ?」

幸太朗が、質問した。
僕が、答える。

「・・ホワイトクリスマスじゃなかったっけ?」

「そう、それ」
 


「メリークリスマス」皆が、声を合わせて言った。
 

その時、由梨が僕の肩に頭を置いた。
 

「おぉーい、イチャイチャすんなよー」

岡田が、茶化す。
 

でも、違った。
僕は、由梨の異変にすぐに気付いた。

「由梨?由梨?!」
 

由梨の顔を覗くと、鼻から血を流した由梨が横たわっていた。
 

「由梨!おい、由梨!!」
 

パニックだった。
どうしたらいいのか分からなくなって、僕はずっと由梨の名前を叫んでいた。