「でもさ、花火って売ってんの?」
と、岡田が言った。

「実はね、皆でやろうと思って、夏に花火買って置いたの」

「さすが、由梨ー!」と折越さんが言った。

「でも、シケってなければ大丈夫」

「大丈夫でしょ!よし、冬の花火大会やるぞぉ!!」
おー!!
こうして、僕たちのクリスマスは、皆で花火をすることになった。
「寒いでしょー!!」

「寒い、寒い!」

折越さんと真由美は、一つのマフラーを二人で巻き、寒さに縮こまっている。
 

「そんなに寒くないでしょ?」

岡田は、この寒さでも平気な様だ。
 

「大丈夫?」

僕は、隣で歩く由梨に声をかけた。

「うん。ねぇ、手貸して」

由梨は、僕の手を取り、握ったまま僕のポケットに繋いだ手をしまった。
 

「あったかぃ」
 

由梨のその甘えが、恥ずかしくもあり、嬉しかった。
 

「よし!準備オッケー!!」

幸太朗が、小さな打ち上げ花火をセットし終えると、みんながその周りに集まった。
 

「火、持ってる?」

「はい」
 

折越さんが用意していたライターを手に取り、幸太朗は「いくよ」と、花火に火を付けた。

導火線から火花が上がり、煙が舞った。
 


「あれ?」
 

火花が消え、少しの沈黙が流れた・・
 

「打ち・・、上がらないね。花火」

真由美が答えると、やっぱりね。と皆が笑った。