僕たちの高校生活も、もうすぐ終わる。

学校では、卒業式という言葉が、早くも飛び交うようになっていた。
「寒いねぇ」

真由美が、冷たい手を擦りながら言った。

「そういえばさ、今年のクリスマス何処か行くの?」
と岡田が言うと、
「クリスマスかぁ」と皆が口をそろえて言った。
「由梨は、北山と一緒でしょ?」

僕の隣に居た折越さんが、由梨に話しかけると、由梨は「うん」と答えた。
「いいよねー。いっつも仲良くて」

真由美が幸太朗の方を見ながら言うと、幸太朗は岡田の背中に顔を隠した。
幸太朗と真由美は、学校祭が来る前に付き合っていた。

まぁ、いつも通りの二人で、喧嘩は絶えないらしいが、それが二人だと心配するものはいなかった。
「あのね」
教科書を鞄にしまった由梨が、話し始めた。
「クリスマスなんだけど、皆で、花火しない?」

由梨の突然の誘いに、折越さんは驚いた表情を見せ、答えた。

「花火?なんで?12月だよ?真冬だよ??」

「あのね、今年の夏、みんなで海行こうとか花火しようとか、いっぱい計画立ててたのに、行かれなかったでしょ?だから、ずっと気になってて」
「いいんじゃない?」幸太朗が言った。

「面白いじゃん。冬の花火大会!!」と岡田が続いた。
「いいね!服、着込んで行かなきゃ」
と真由美もノリノリだった。
「優・・」

由梨が話しかけて来た。

「うん?」

「いい?」

「もちろん」
僕は、笑顔で返した。由梨のやりたいことをやらせてあげたいと思った。