「よし!じゃあ今日は、授業はやりません!」
先生が言った。
「よっしゃあ!!」

「うるさいぞ!本田!」
幸太朗が怒られたのに笑いが起き、いつものクラス雰囲気に戻った。

一番笑っていたのは、真由美だった。
僕と由梨が、席に着くと先生は話を始めた。
「いいか、皆。もうすぐ、君達にとって最後の学校祭だ!五組がやるのは、焼き鳥屋だったよな?北山」

「うん。そうだけど」

「実はな、今年の学校祭のメイン行事として、クラス対抗歌合戦をする事になった!」
クラスが、どよめいた。
「先生!どういうこと?」真由美が、質問する。
「各クラスから一名!代表者を選び、トーナメント方式で歌っていく!歌う曲は自由だ。審査員も凄いぞ!校長と教頭、音楽の先生、生徒会長に軽音部の顧問が歌唱力とパフォーマンスで厳正なる審査をする!」
「すげぇ、ガチだな。」幸太朗が、答える。
「そうだ。昔は、やってたんだ。恒例行事でな。優勝者の中から歌手になった奴も居るんだぞ」

「マジかよ」という言葉が飛び交うと、先生は満足げに答えた。
「まぁ、売れない演歌歌手だけどな」

「なんだよそれ」
と、幸太朗が言うと、折越さんが話し始めた。
「北山が、出れば?」

「えっ?!なんで」

「歌、ウマいじゃん」

「先生!」「ちっ、ちょっと」
「なんだ?折越くん」

「北山くんがいいと思います!」

「ほー、北山か。出たいか?」

「出たくないよ!なんで俺が」
「優勝者には、温泉旅行のペアチケットが付いてるんだがなぁ」

「渡辺さんと行っちゃいますかぁ?!」と岡田が冷かした。
「北山!北山!」と手拍子とコールが起こる。
「あー、わかったよ!俺がやるよ!やればいいんだろ!」

「よし!じゃあ、ウチのクラスからの代表は、北山なぁ」
あっさりと決まってしまった。