「あっ、そうそう。俺、アドレス変えたから」

授業が終わり、教室に最後まで残るのはいつも同じメンバーだった。

別に、何をする訳でもなく・・

何と無く、他愛も無い話をして、帰るのはいつも遅かった。

「また変えたのかよ。教えろよ。あっ、送ると金かかるから紙に書けよ」
「なんだよ。それ」

ノートの切れ端を破り、自分の名前とメールアドレス、ついでに変わってない電話番号も書いて、それを隣の席に座る岡田晃一に渡した。

昨日、入学式を迎えたような僕達も、馬鹿やって笑い合って、気付けばあっという間に、高校二年の冬が終わる。

高校生活も、あと一年で終わり、みんな違う道へと進んで行く。

元々、女子校だったこの高校は、共学になってからも女子率が断トツに高かった。

その為か、二年に進級する段階で、女子だけにクラス替えがあるという珍しい学校だった。

つまり、男連中は、同じクラスになって、もう二年が経つ。

僕の居た三年五組は、男女合わせて、三十五名在籍している。

学年でも学力は最低ランクの馬鹿クラスだった。

でも何故か、異性の壁を越えた校内一の団結力があり、
数々の行事や大会では、各賞を総なめにする強さがあった。

担任の高山先生も、理解のある優しい人で、生徒との仲も良かった。