「その縁結びの神様が私になんの用なの…?」
『其方は天の邪鬼に取り憑かれておるのだ…』
尋ねると神様は静かにそう口にした。
「あまのじゃく…?」
『そう。天の邪鬼は人の心を操る妖でな…
取り憑いた人間の本心とはまったく逆のことを口に出させるのだ』
神様はそう説明し、
『心当たりがあるであろう』と私に問いかける。
問われて私は真っ先にあいつとのことが頭に浮かんだ。
あいつに対していつも素直になれないのは、その天の邪鬼のせいなのだろうか……。
…すると、神様はまた私の頭のなかを見透かすようにして頷いた。
『其方があの者のことを好いておるのは知っておる。
我は縁結びの神故、其方の恋を成就させるために参ったのだ…』
「私の恋が成就…?」
そんなことあるはずない
そう思った。
だって、私はいつもあつには可愛くない態度ばかりだし、
あいつの方だって、
私のこと嫌いって言ってるし……