『…また、あの者たちを見ておるのか』
ある神は、一組の男女の姿を眺める神に向かってそう話し掛けた。
『…御主には関係ないことぞ』
話し掛けられた神は、そう冷たく言い返す。
『そんなにあの者たちが気になるのか。
お前が心配せずとも、あの者たちの絆は揺らいだりせんよ』
『…心配などしておらぬ』
『お前は相変わらず素直じゃないの』
『五月蝿い』
『…まぁ、良い。
そうでなければお前らしくないからの』
『………』
『しかし…
自分と似た者を助けたいからといって、
わしの名を語って縁結びをするのはやめてくれぬかの…
天の邪鬼の神よ…』
− 終 −