「ちょ、エル。
アイツとなんかあったの?」


ショウが恐い顔をして聞いてくる。



「んと‥‥」



なんて答えればいいのか、迷っていると
ショウがさっきの顔とは裏腹に、申し訳なさそうな顔をする。



「‥‥話したくないんだったら言わなくてもいいよ‥‥。


でもさ、エルがすんごい顔して睨んでたから、ちょっと気になって」



(‥‥睨んでたのか、あたし)




「んー。ま、
ちょっとね」


アハハと笑ってごまかす。
(‥‥ショウって、ツンデレ?)
ふと沸いてきた疑問。しかし、ショウによって遮られる。



「そういや、アイツ、確か同じグループだよな」


「‥‥」


すっかり旅の事など忘れていたエルは、重大なことに気付く。



(これからやろうと思っていたこと、忘れるとこだった‥‥)



「‥‥ショウ」

「‥‥へい?」


間抜けな返事をするショウ。
エルは一呼吸おいて、真剣な眼差しを向ける。



「えっ、なな何っ?」

ドギマギするショウをよそにニッコリと微笑む。


「ショウ‥‥明日、準備OK?」


「えっ…何が?」

突然の質問に戸惑うショウ。


「…準備って、なんの?」



「そんなことはいいから!!返事は?」


「‥‥え、はい‥‥」


「じゃ、明日朝イチにショウの部屋に行くからね!!」


「え?‥‥は?!」

「じゃね!」


「あっ、おい!話が見えないっ!!」




半強制的に返事をさせられた、ショウの呼びかけも虚しく、エルは走り去って行ってしまった。



「‥‥‥‥ハハ」



ショウは弱々しく微笑んだ後、
ゆっくりと部屋に戻っていった。