「あたし、不安なの。‥‥いきなり旅に出ろって言われても普通、困るよね。
でも、そんなことより‥‥‥
皆と関わる事が、
‥‥恐い。
今までに深く関わった人なんて、ほとんどいなかったしさ。
これから、嫌でも関わることになるんだけれど‥‥。
でも、
一番は自分を知られることが、恐い‥」
エルは、まるで周りにはショウなどいないように、独り言のように全てを吐き出した。
気付くと、頬には冷たい氷のような感覚が襲った。
火照った頬に、
伝った涙は気持ちがよかった。
(あたし、こんなことで泣くなんて‥‥)
エルにとっては、『こんなこと』という軽い問題ではなかった。
その問題はエルがここに来る前の、
何年も昔に遡る。
もちろん、エルは
覚えていない。
だけれど、心の奥深くに『トラウマ』として、残っている。


